不定期刊行物 Sinfonica研究叢書No.18
公的統計の利用と統計的手法
美添泰人青山学院大学経済学部教授らが、平成17~20年度に(独)日本学術振興会の科学研究費補助金を受けて実施した「官庁統計の総合的な利用方法に関する研究」を中心として、総務省統計研修所のミクロデータ分析施設における分析、理論的分析などを体系的に配列し、新しい統計法の下で構築すべき統計機構と、今後の発展が期待される公的統計の分析に関連する話題をまとめたもの。
なお、本書に収録された論文の一部はこれまでに刊行されたものに基づいており、出典は以下のとおりである。
第1,2,3,7,8章-『青山経済論集』第57巻第3号、第58巻第4号、第59巻第2、3号に加筆。 第4章-『社会・経済の統計科学』(東京大学出版会)に加筆。 第5,9,10,11章-書き下ろし。 第6章-総務省統計研修所リサーチペーパー第13号に加筆修正。 第12章-Journal
of the Japan Statistical Society,2008, Vol.38, No.3, pp.475-504の解説。 第13章-日本計量生物学会誌 Vol.29 特別号。
編集: | 美添泰人 |
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規格: | B5判、276ページ |
発行: | 平成21年8月28日 |
価格: | 2,095円(税込) |
もくじ
まえがき
第I部 公的統計の利用上の課題
- 第1章日本の官庁統計と経済統計改革
- 1.はじめに9
- 2.日本の統計機構と統計基準行政11
- 3.統計審議会の歴史19
- 4.政府統計の構造改革20
- 5.統計改革の課題と対応21
- 第2章政策評価における統計の役割と消費者物価指数
- 1.公的統計制度の改革31
- 2.経済統計の役割33
- 3.消費者物価指数を巡る問題38
- 4.結論48
- 第3章統計による客観的根拠と政策立案
- 1.統計、知識および政策の立案51
- 2.主な議題と統計指標の意義52
- 3.幸福の測定と政策決定55
- 4.おわりに62
- 第4章統計改革の残された課題
- 1.目的65
- 2.統計調査の実施65
- 3.ミクロデータの公開76
第II部 公的統計の実証分析
- 第5章家計調査と貯蓄動向の総合的利用による消費と資産の関係
- 1.はじめに89
- 2.コーホート別にみた年間収入・消費支出・金融資産残高等の推移90
- 3.年間収入・消費支出・金融資産残高に関するコーホート効果・年齢効果・時間効果への分解98
- 4.20年分の世帯データを用いた消費関数と資産効果の測定104
- 5.おわりに111
- 第6章女性就労と消費行動:家計内資源配分に着目して
- 1.はじめに115
- 2.理論モデル118
- 3.データ120
- 4.推定モデル121
- 5.推定結果122
- 6.結論と今後の課題123
- 第7章貯蓄行動の理論と実証分析
- 1.はじめに139
- 2.不確実性下の消費・貯蓄行動理論の概観140
- 3.先行研究における消費データの取り扱い144
- 4.SNA消費データについて146
- 5.実証分析150
- 6.結論と残された課題156
- 第8章アメリカ合衆国における個人貯蓄率の低下について
- 1.はじめに161
- 2.個人貯蓄率の低下に関するGordonの見解162
- 3.Perozek and Reinsdorfの分析167
- 4.純資産残高の大きさに対する消費の比率の安定性170
- 5.本稿の主要な結論と残された研究課題171
- 附論ホーム・エクイティ・ローンについて172
- 第9章価格分散の存在と持続性に関する統計的分析
- 1.はじめに183
- 2.理論的背景185
- 3.データ187
- 4.価格分散の存在と持続性188
- 5.売り手の数と価格分散191
- 6.おわりに195
- 第10章官庁統計および衛星データからみる長江流域の水資源環境の現状
- 1.はじめに201
- 2.中国における環境に関する官庁統計データ202
- 3.官庁統計データからみる長江および東シナ海の水質205
- 4.衛星データからみる東シナ海における水質209
- 5.おわりに212
第III部 統計調査の手法と評価
- 第11章有限母集団からの標本抽出における回帰推定量に関する考察
- 1.推定段階における補助情報の利用217
- 2.回帰推定量の基本的な考え方218
- 3.回帰推定量の性質221
- 4.回帰推定量における外れ値224
- 5.層別抽出法における回帰推定量の利用225
- 6.回帰推定量と差推定量との関係229
- 7.シミュレーション230
- 8.まとめ236
- 第12章標本調査における統計的汎関数について
- 1.標本調査の意義237
- 2.標本調査の枠組み:有限母集団モデル239
- 3.有限母集団における漸近理論241
- 4.統計的汎関数242
- 第13章定量的リスク評価と定性的リスク評価との架橋
- 1.はじめに265
- 2.弱集団、通常集団、強集団の発想266
- 3.集団の分類を可能とするデータ解析法270
- 4.おわりに275