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発明発見の輸出大国をめざそう


(1)ねらい

○科学技術の発展に大きな働きをした先人の業績やすぐれた文化遺産について興味と関心をもつ。

○特許権の登録件数の多い国は有用な特許発明が数多くなされている国だということに気づく。

○資源の少ないわが国にとって,特許や実用新案などによる科学技術の輸出の拡大は, これからますます重要な課題だということを知る。



(2)指導上の留意点

○学年の発達段階から,特許権・実用新案登録・意匠登録・商標登録などの用語の理解は難しい。 ここでは特許権について「工業上の新発明をした人がその発明を専用できる権利」であることを教師 が説明しておく程度でよい。

○発明家の伝記については学校図書館あるいは地域の図書館の児童用図書の中にあるが, ない場合は「発明発見ものがたり」,「百科事典」なども活用させたい。



(3)参考事項

○日本の発明家10傑の業績


・豊田佐吉(1867-1930)
静岡県生まれ。1891年に木製人力織機を完成,改良を重ね自動織機を 作った。得た特許は84件。トヨタ自動車の基礎を築いた。

・御木本幸吉(1858-1954)
三重県生まれ。1893年,養殖真珠づくりに成功。技術を発展させ, 日本の真珠を世界に売り込み,後に貴族院議員。

・高峰譲吉(1854-1922)
富山県生まれ。工部大学(現在の東大工学部)を出て英国留学後, 米に永住。消化剤,ジアスターゼの製法を発明,副じん皮質ホルモンのアドレナリンを結晶分離法 でとり出した。

・池田菊苗(1864-1936)
京都生まれ。東大化学科を出てドイツ留学後,東大教授。昆布のうまみ 成分がグルタミン酸ソーダであることを突き止め,その製法を発明。世界的な調味料となった。

・鈴木梅太郎(1874-1943)
静岡県生まれ。東大農芸化学科を卒業し欧州留学後,東大教授。 米ぬかに含まれるビタミンB1が,脚気の治療に効くことを発見,分離に成功した。世界で初の ビタミン抽出。

・杉本京太(1882-1972)
岡山県生まれ。エジソンのような万能発明家。和文タイプライターを 大正初期に発明したほか,映画のトーキーや映写機,カメラの改良など,身近な発明を次々に生み出し た。

・本多光太郎(1870-1954)
愛知県生まれ。東大物理学科を出てドイツ留学後,東北大教授。 同大学総長。強力な永久磁石鋼のKS鋼,改良型のNKS鋼を発明,大正,昭和の磁石鋼研究を世界の トップ水準にした。

・八木秀次(1886-1976)
大阪府生まれ。東大電気工学科を出て欧米に留学,東北大教授,阪大総長。 八木アンテナの基本となる電波指向方式を発明。現在のアンテナは大半がこの方式である。

・丹羽保次郎(1893-1975)
三重県生まれ。東京電気工学科を出て日本電気に入り,有線写真電送装置 を昭和の初めに発明,ニュース写真などの電送を実現した。無線電送にも成功。後に東京電機大学長 になった。

・三島徳七(1893-1975)
兵庫県生まれ。東大鉄冶金学科を出て,東大教授。磁石の理論研究から, それまでの永久磁石を一新するMK磁石鋼を発明。発電機,通信機,スピーカーなどに広く使われた。


○工業所有権の出願・登録件数(単位千件)



○中高生の21世紀の夢に関する国際比較(科学技術白書平成13年版)

①21世紀の社会 人類にとって21世紀は希望のある社会になる



②21世紀の社会 科学の進歩で,人間はより幸福になる



③将来就きたい職業 学者(大学教授など)

((財)日本青少年研究所HP 21世紀の夢に関する調査報告書1999年)